こちらの歌のクリップ、「Tetea mtoto~子どもを守って」 は、2012年にミュージシャンの 大西匡哉さんが、Magoso OBOG Clubと、マゴソスクールの子どもたちと共に制作したものだ。
作詞作曲は、私たちマゴソスクールと長年親しくお付き合いしてきたケニア人ゴスペルシンガーのJohn Onyango さん。ジョンは、キベラスラムの若者たちと、Mashimoni Youth Group というゴスペルグループを作っており、彼自身も夜勤の警備員として働いていたスラム貧困者の一人だった。

この歌詞は衝撃的な内容で、キベラスラムでは年端もいかない子どもたちが無惨にもレイプされる、その多くは孤児なのだ。という実話を歌ったものだ。
この歌を作ったとき、マゴソスクールの近所で2歳の女の子がレイプされた事件があった。
それは、スラムでは稀な話ではなく、これまでも何度もそのような事件に接してきた。
9歳の子がレイプされ妊娠し、出産したこともあった。レイプにより子宮破裂し命を落とした子、一生の障がいを負い歩けなくなった子もいた。
だから、マゴソスクールの子どもたちにとっても、それは遠い他人の話ではなく、非常に身近な悲しみだ。
さらに、レイプされた女の子の母親が、誰がレイプしたかを知っていても、口をつぐみ、泣き寝入りすることが多い。それは、スラムの生活事情に起因する。警察に訴えて逮捕されたとしても、賄賂を払いすぐに出所する。その後、仕返しされる。
スラム以外住む場所がないから、そこに生きている人たちは、どんなに理不尽はことが起きてもそこで生き続けていくために、泣き寝入りしなくてはならないことが多い。仕方がなく、母親は、「許します」と言い、そのまま困難な日常を生きていく。

そんな状況を少しでも改善するために、「声に出していこう。黙らない。」という運動が、スラムの若者たちを中心にして広がっており、マゴソOBOGクラブでもそれを常に意識して活動をしている。

この歌をジョンが作ってきたとき、その歌詞の内容のむごさに、マゴソスクールの子どもたちは泣き出してしまい、歌うことが出来なかった。
大西匡哉さんはその子どもたちに、悔しいなら悲しいなら泣くのではなく、それを伝えるために歌いなさいと言った。
子どもたちは涙をぬぐって懸命に歌った。

それが私たちが出しているCDにも収録されている。
(ネット購入できます。はろの屋 https://haronoya.com/shop/afrika
このyoutubeビデオでは、演じているのもマゴソスクールの子どもたち、歌の中心はマゴソOBOGクラブで当時高校生の子たちだ。現在彼らは大学生、大学院生、社会人になっている。

さて、このビデオを目にした日本の若者からメッセージが来た。スラムで幼い子どもがレイプされる、いったいなぜ!?という質問だった。

関心を持ち、わざわざTwitterでDMを送ってきてくれた彼女に心から感謝だ。
その質問に答えたい、しかし、一言で答えるのは非常に難しい、様々なスラムの事情や生活要因、ケニア全体の社会事情や様々な要素がそこにはある。

そこで、そもそもはまず、スラムの事情やそこで生きる人々に出会ってもらいたい。
そして、彼らの生きざまを知り、身近に感じてもらいたい。彼らの生の声に耳を傾けてもらいたい。
その上での様々な問題提起が出来ると思う。

知ってもらいたいから、トークショーを企画した。
5/20と、5/27の2週連続でのトークショー。
5/20はキベラスラムに関して。5/27はマゴソスクールに関しての話を詳しくしたい。
その際に、このレイプに関しての話にも触れたいと思う。

ぜひこのビデオを見ていただき、5/20と5/27のトークショーにもご参加いただき、皆で意見交換をしていけたらと思う。どうぞよろしくお願いします。

イベント詳細とお申込みはこちらから。

★ 5/20(水)19:30 早川千晶のひとり語り VOL.1 ~キベラスラムで生き抜く力~
(https://haronoya.com/shop/11281)

★ 5/27(水)19:30 早川千晶のひとり語り VOL.2 アフリカのスラムに学校を作る
(https://haronoya.com/shop/11704)

世界にある現実は、私たち人類すべての共通の課題です。世界中すべての人々の声に耳を傾けて、理解を深め、行動し続けていきたい。
私たちは、この世界を決してあきらめてはならない。