今日はまた食料バウチャーを210世帯分作ってきた。
枚数が多いとスーパーのほうでなかなか手配が出来ず、何度もチェックしても、サインがされていない、枚数が足りない、数字が入っていないなど、延々と時間がかかり、夜間外出禁止令の午後7時にギリギリになってしまい、大急ぎで走って帰った。


希望者に大量に検査をするという試みをスラム周辺ではじめているけど、スラムの人たちはなかなか行かない。感染者が出た長屋ではその長屋の住民全員が連れていかれて長屋が閉鎖されているが、連れていかれないように逃げる人もいる。連れていかれてから逃げる人もいるそうだ。
なぜ逃げるのか、なぜ自らの身の安全のために望んで検査を受けないのかと聞いたら、戻ってきてからの生活上の困難が厳しすぎて怖いからだという。
スラムの生活環境では、感染する病気を誰もが恐れるが、隔離されて戻ってきたら、みんな寄り付かない、口をきいてくれない、商売をしている人ならその人から買わない、という差別が起きて、村八分のようになってしまうという。
昨日、マザレスラムで死者が出たとニュースになったが、その人は、検査を受けて、陽性が出たとたんにショック死したという。その真偽のほどはわからないが、こういう危機のときほど、様々なウワサが蔓延して、人々の恐怖心をあおる。

しかし相変わらずオギラ先生は、「1メートル」と子どもたちに呼ばれながら、スラム中を歩き回りながら人々に指導して回っている。マスクの着用方法、ソーシャルディスタンス、手洗い、などなど・・・。
注意事項が書かれたパンフレットを手にして、近所を回り、本を借りに来る子には3枚渡して近所の家庭に配るようにと言い、それをまた回収して次の家庭へ。

オギラ先生のホーム図書館活動は順調に活発で、人気の本は子どもたちが朝早く来て次の順番を待っているらしい。
あとは、テストペーパーをオンラインでゲットして、それをプリントして、子どもたちの保護者に配って子どもたちが家庭でやるように指導。

人気の本はどれだったかと聞くと、なかなか面白かった。
私が選んで買った本「オバマの自伝(写真付き)」が大人気。それと、「先生を救え!」というタイトルの読み物の本(笑)。それから、「なぜ?」というタイトルの本で、なぜ血は赤いのか、どうやって血は作られるのか・・・・などなど、体の不思議を書いた本。
子どもたちはこれらの本を家庭に持って帰って読んで、親にいろいろ質問をするらしく、今度は親も勉強したいと、親みずからが本を借りに来るようになったらしい(笑)。
大人気で何より。
まるで真綿に水がしみいるように吸収していくから、何でもやりがいがあって本を買いに行くのも楽しい。

折り紙と、折り紙の本もあったので渡していたのだが、その折り紙教室をやってとても楽しんでいるらしい。
渡していた日本製の折り紙が無くなったので、自分たちで紙を四角く切って代用しているとのこと。
子どもたちは学ぶ機会をとても欲している。

強制撤去についてのその後。
範囲はさらに拡大し、大通りの反対側にも撤去が伸びることになった。
数えてみたところ、撤去される小学校は合計2500人以上の生徒、託児所(保育園)は100人、セカンダリースクールは2000人の生徒。
世帯数は1000よりさらに拡大したと思う。
そして、フリーダさんの助産院&診療所は、ほぼ全部撤去。フリーダさんはもう80代間近、まさかこんなに高齢になってこんなことになるとは、、と嘆いている。この土日は、フリーダさんは撤去される塀のまわりをずっと回りながら、ひたすら一人でお祈りをして、そしてまた帰っていったという。

だけど私たちもこの危機にただ受け身でいるわけではなく、様々な人々に相談し、そこから情報が回っていき、思わぬ上層部の人に届いて、そこから調査がはじまったりしている。
最大限の努力をしたい。

非常に残念なことに、先日強制撤去のしるしを確認しに来てくれた議員さんの警備スタッフがその場で転倒して大怪我、入院中だったが、昨日、亡くなられた。
食料を必要とする人々が議員さんの車に詰めかけ、走行中にドアが開いて転倒したのだという。
このコロナ状況下でお葬式がどうなるのか、そんな話し合いもされている。

このようなことがありつつの、その一方で、食料支援を続けている。
これまで定職に就いていた人も、無給の休暇に出されたうえに、ただSMSで「残念ながらあなたは解雇されました」というメッセージを受け取り、それで終わりだったという人も多いという。このような人はこれからますます出てくるだろう。スラムだけではなく、一般の生活層でも。

食料支援は、マゴソの生徒の家庭だけではなく、マゴソスクールの近所一帯にも広げている。それによってみんながより団結して一緒にこれを乗り切ろうという気持ちが高まっていっている。
毎週100世帯に配布していたが、今週は210世帯に。

やはりみんな撤去が来ることが不安で眠れないと言っている。仲良しのショショーは、3月から家賃が払えず滞納しており、その家賃取り立てもやってきて、お金が無くて払えないと言ったら出て行ってくれと言われているとのこと。

そんな状態だけど、せめて食べ物があればせめてもの心の支えになると思うので、みんなに食べ物をシェアしていきたい。

ケニア政府も様々な努力をしている。
土曜日の大統領の発表では、経済を停滞させないための様々な予算が用意された。若者の雇用も増やし、ローカルの生産を応援する。貧困者向けの予算もさかれた。しかしそれがどのように実際に貧困者に渡されるかはまだ不明。

以上、近況報告でした。
私たちは元気にしていますのでご心配なく。世界みんなでこの危機を乗り越えましょう。

写真は、バウチャー配布をして回っているケビン先生が撮影してくれました。