16463652_1290469761012804_1648856416206422600_o

ママ・ウィルキスタ。数年前に私がキベラでピストル強盗に遭ったとき、自分の家に私を隠して助けてくれた命の恩人です。

彼女の自宅(長屋の一室でとても狭くボロボロの部屋)は線路のすぐそばにあるから、どうなったか心配でした。家を訪ねてみると、途方に暮れている。朝早く大家が来て、自主撤去をするからすぐに出て行くようにと言われた。どこにも行く場所もなければ、新しい部屋を借りるお金など一銭も無い。大家は、夕方までに長屋を完全撤去すると言っている。

ママ・ウィルキスタは5児の母。だんなは病気で働けない。私のピストル強盗事件をきっかけに、子どもたちは全員マゴソに入学。(それまで学校に行っていなかった。ママも文盲。)

生活は極貧状態だけどママはいつも明るかった。自宅のそばに野菜を売る小さなキバンダ(木の台の露店)を借りて野菜を売って生計を立てていた。でもいつも極貧で、食料が満足に買えないので、子どもたちはマゴソで給食を食べるからとても助かっているといつも言っていた。

その野菜売りの小さな露店も、今回撤去される。

家の中に入って、まったく何の準備もしていないので驚き、早くしないと撤去が来るんだから、早く早く、早く家の荷物を何とかしなきゃ。早く荷物をまとめて。と言ったのだけど、そんなこと言っても、いったいどこに行けばいいの?お金だって一銭もないのよ、と。

もっともな話です。このママだけの話ではありません。隣の人も、またその隣の人も、まったく同じ状況です。

それでも急がなければ。夜になるとさらに悲惨な状況になるから。それに、こんなに質素な暮らしでも、家財道具を盗まれたら、このママにとってはそれから生活を立て直すことなんて不可能。私はママ・ウィルキスタと長年付き合って、彼女の家庭事情の裏の裏まで知っている。帰る田舎もないのだ。とてもとても貧しい村の出身。貧しさの中で両親はとても早くに死んだ。兄姉も死んだ。学校に行くことはできなかったから、ナイロビに出稼ぎに来てもろくな仕事は得られない。人々の家を回って洗濯をして、小銭を稼いで飢えをしのいできた。

とにかく今すぐ何とかしなければならないので、オギラとリリアンと相談し、すぐに空き部屋を探しに行くようにママ・ウィルキスタに指示。見つかったのは、今のボロ長屋の家賃の倍の部屋。今払っている家賃は1500シリングだけど、そんな安くて古い長屋はもう見つからない。やっと見つけた空き部屋は家賃3000シリング。入居するために敷金を一か月分払わなければならないので、合計6000シリング。

とにかくこの金額は手助けするから、すぐに荷物を移動させて安全を確保するようにとママに伝える、6000シリングを支払い完了。現在、午後5時です。

次に続く。