オギラが持っている鉄の棒。これは、1896年~1901年にイギリス植民地政府によって立てられた棒で、鉄道の境界線を示すものです。線路の両脇の一定の決められた距離内には、危険なので何の建造物も建ててはいけないという決まりが、1901年当時からこうして印がつけられていたわけですが、線路周辺にスラムが形成されていき、人々は線路の上を通路として歩き、線路上で商売を行い、線路脇ギリギリのところまで店や家がひしめいていました。
危険だから線路周辺は強制撤去されなければならないということは以前からずっと繰り返し通告されており、それでも人々は移動する場所もなければ、地方の生活状況の悪化でスラムへの貧困者の流入も激しく、人口もますます過密し、線路上の商売や居住はさらに増え続けていっていました。
キベラは、中心に線路が突き抜けており、線路に沿って細長く広がっているスラムですが、今回の強制撤去はその線路の端から端まで、この鉄棒からさらに数メートル外側まで、徹底的に撤去を行うものだとのことです。昨日ブルドーザーが潰しきれなかった家々を、今日このあとまたブルドーザーが来て潰していくもようです。強制撤去が来ることがわかっていても、他に行く場所もないからなすすべもなく、ただぼ~っと座り込んで動かない人々がたくさんいました。
次に続く。