自主撤去について。昨日の夕方から夜にかけてブルドーザーによる強制撤去が進みましたが、ブルドーザーが去るとき、「また明日の夕方に戻ってくるので、それまでに自主撤去をするように。」と通告していきました。
そこで今日は朝早くから、線路沿いでは「自主撤去」が次々と行われています。家の中のものもすべて一緒にブルドーザーでぺしゃんこにされるよりは、せめて少しでも、建築資材や家の中のものを確保するためには、自主撤去したほうがまだマシなのです。
この写真の右のほうに、骨組みだけになっている建物が見えますが、これは、まずは壁や屋根のトタンを外して、それを別の場所に運び、骨組みの木材もすべて取り外して確保しようとしているものです。キベラの住居は、もともと古いトタンや廃材を使って作られているものも多いですが、そんな古いトタンもまだ再利用しようとします。また、ブルドーザーでの強制的な撤去が強行される場合、そこに泥棒と化している暴徒が大量に群がりますので、家の中のものを運び出したいと思っても、ほとんどが盗まれてしまいます。なので仕方ないので自主的に撤去をしていこうと、大急ぎで家の解体をしていました。
ところがこれには非常に困った問題があります。というのはキベラの一般的な住民たちは大家から長屋の一部屋を賃貸して暮らしています。そんな住民たちは誰もが貧しく、すぐに代わりの部屋を見つけようものにも、部屋を借りるために必要なデポジットと最初の一ヶ月の家賃、要するに、二か月分の家賃のたくわえがある人など誰もいません。また、人口過密のキベラスラムでは、新たに部屋を見つけるのは至難の技です。しかし今日も、朝から大家が強行に自主撤去をはじめてしまい、その部屋を賃貸で借りている人たちはそこからどこにも行く場所がなく、途方に暮れていました。
今日の夕方に再びブルドーザーが来る前に、自主撤去を完了させようと、大急ぎで解体をしています。
次に続く。