マゴソスクールは2007年にはじめての卒業生が出て、マゴソOBOGクラブという卒業生クラブが生まれました。2007年のはじめての卒業生は7名で、その7名を何とか高校進学させてあげたくて、愛知県江南市の両角さんご夫妻のご尽力により、MORO教育基金が立ち上がりました。
2007年のはじめての卒業生をGeneration1(ジェネレーション・ワン=G1)と名づけ、それから毎年、マゴソスクールを卒業する生徒は増え続けていきました。
2016年の卒業生は、マゴソ52名・ジュンバ8名の合計60名。Generation10となりました。
ケニアの教育制度は844(エイト・フォー・フォー)と言い、Primary School 8年間、Secondary School 4年間、University 4年間というシステムになっています。Primary School の前に幼稚園が3年間あり、マゴソスクールには、幼稚園の年少、年中、年長、プライマリースクール1年生~8年生、障がい児の特別支援学級、裁縫の職業訓練所、大工のクラスと、合計14のクラスがあります。
毎年、8年生の生徒は11月に全国統一試験(KCPE)の受験をして、その成績により進学ができる生徒は進学していきます。500点満点中、250点が「パスマーク」(合格点)と言われており、それ以上だとセカンダリースクールに進学できるということになっていますが、現実的には、もっと高得点を取っていないと、良い学校には進学できません。
また、たとえ成績が良かったとしても、学費が高く、学校の数も少ないためほとんどは地方の寄宿舎学校であり、寄宿舎に持参しなければならない様々な物品の購入や、制服、教材、体操服、交通費など、様々な費用がかかり、貧困家庭の保護者には大変厳しく高い壁になっています。
そこで私たちは、MORO教育基金を通じて、奨学金を提供し、キベラスラムの子どもたちの進学を助けています。
ただ奨学金を出すだけではなく、彼らの精神面の成長も助けていくため、毎学期末にはマゴソOBOGクラブミーティングを行い、啓発的な活動を行い、家庭訪問や人生相談なども含め、保護者の相談にも乗り、様々な形で彼らのサポートを行っています。
私は、グループ活動で彼らの結束を強め、お互いに刺激を受け合い、切磋琢磨して、一生涯を通じて仲間としてつながっていけるように、そして、自分の後ろに続いている子どもたちや後輩たちの指導役になっていけるように、注意深くモニターして、継続的な指導をしています。
マゴソOBOGクラブの主な指導役の担当は、私と、ダン先生、オギラ先生、リリアンです。このチームが主体となり、マゴソ卒業生でG1(Generation1の略)のオドンゴがコーディネーターです。
日本側は、MORO教育基金の会長の両角さんご夫妻がとりまとめをしてくださり、そこに、個人や団体で特に青少年の育成の活動に興味がある方、奨学金を提供してくださる方が参加して、グループになっています。
そのグループに対して、私が、通常公開してレポートしているような内容よりももっと深くて詳しい内容をメールで随時ご報告していき、みんなでディスカッションしたり、アイディアを出し合ったりしながらこれまで10年間の活動を行ってきました。
マゴソOBOGクラブからは日本への留学生も2名生まれて、その2名は埼玉県熊谷市在住で、大学で学んでいます。両角さんご夫妻や支援者の方々は、この留学生の親代わりでもあり、大学の入学式に出席し、問題があれば話し合い、お正月には実家のように帰省して、家族的な付き合いをしています。
昨年は、合計60名もの卒業生が出て、そのひとりひとりのバックグラウンドを見ていくと、誰もが大変厳しい家庭に生まれ育ち、親を亡くしたり病気の親の介護をしたり、孤児として他人の家に身を寄せて生活をしながら、また、マゴソファミリーの一員となり他の子どもたちの世話をしながら、勉学をあきらめずに努力してきた生徒たちであり、何とか彼ら彼女らに明るい未来が生まれるよう、また、キベラスラムの未来のためにも、先の学校に進学させたい気持ちでいっぱいになります。
これまで、ほとんど私の個人的なつながりの方々や、両角さんの個人的な年金から、奨学金を捻出してきましたが、この10年間この活動を行い、進学への可能性がどれほど彼らに希望を与えているか、また、そこから先の彼らの人生をどれほど変えていくか、彼らだけではなくその周辺の、家族や、弟妹、親戚、近所の人たちまで変えていく力を持つことを目の当たりにしてきました。
はじめてから10年たった今、G1からG10までの生徒たちと共に語り合い、あらためて、これまで10年間の歩みがいかに大きな影響を生んできたかを実感しました。
G1からG6までは、すでにセカンダリースクールを卒業し、大学生や社会人になっており、彼らが後輩に語る言葉はとても重みがあり、実感をともない、本当に役立つアドバイスをしてくれます。
まだ年若い卒業生の彼らが、キベラスラムの後輩たちを自分たちの手で支援していけるようになるまで、まだまだ長い時間がかかると思いますが、私は、彼らのおかげで、これから10年先、20年先のビジョンを持てるようになりました。
私は将来的には、このマゴソOBOGクラブで自立して、かつての自分たちのように厳しい状況にあるキベラスラムの子どもたちや後輩たちを、彼ら自身が支援することができるようになると思っています。
しかしそれにはまだ時間がかかり、彼らが仕事を得て社会人になり、そこから彼ら自身も自分の家庭を持ち人生を作っていきながら、振り返ったときにいかに多くの人々に支えられて自分の人生があったかを理解するようになります。
私はいま50歳になりましたが、私自身も、20代や、30代のときには本当の意味ではわかっていなかったと思うのです。それを思うと、マゴソスクールの初期の卒業生たちが30代、40代、50代になってきたときに、どう展開していくかが非常に楽しみだと思っています。
そこまで歩みを進めていくまで、今しばらく手助けを必要としています。
MORO教育基金を通じて支援をしているのは、学費のみならず、一人前の人間として成長していくための学び合い、人間作りの機会です。マゴソOBOGクラブを通じて様々な取り組みをして、夢を語り合い、共に成長していきたいと願っています。
私が最も親密に共に活動しているグループでもあります。
自分が支援している生徒のことだけではなく、全員の様々なエピソードを知れるように、私から流すメールは、支援者全員にグループメールにしてお送りするようにしていますので、キベラスラムの生活や社会事情、青年たちの成長の様子に興味がある方は、ご参加いただけるといろいろな話をお伝えしていくことができます。
昨年度の卒業生は60名でしたが、現在まだ支援枠が2名分しか確定されていません。
この生徒たちはこれから進学をしていきますが、私は明日彼らの個別面談と、保護者面談、家庭訪問を行い、最も厳しい状況の生徒から優先して支援の決定をしていきます。
また、貧しくとも親、兄姉、叔父叔母などの親族がいる生徒の場合は、保護者と連携して支援を行っていくので、100%の支援ではなく、保護者にも苦労をして費用を捻出していってもらいます。
この生徒たちに実際に会いたい方は、マゴソOBOGミーティングがあるときに合わせてケニアに来ていただければ、ミーティングに参加していただき彼らの声を聞き、家庭訪問を行い、保護者とも語り合うことができます。また、時期によっては高校や大学の訪問をすることもできます。
このような活動に興味をお持ちの方で、進学資金を提供してくださる方は、ぜひMORO教育基金会長の両角さんへご連絡をいただき、このマゴソOBOGクラブのサポーターになってくださいますとありがたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
関心がある方は両角弘夫さんに直接メールしていただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
また、MORO教育基金のゆうちょ銀行口座は以下です。
ゆうちょ銀行
記号 12130
口座番号 33356821
名義 モロキョウイクキキン
今後もマゴソOBOGクラブの成長ぶりについてご報告していきます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
早川千晶